【JTC】大手メーカー4年目が感じる「3年間はとりあえず働け」に対する違和感

来歴内容
2022/05/22勢いに任せて執筆
2023/05/26微修正(よくこんな恥ずかしい文章かけたな)
本記事の編集来歴
  • 「とりあえず3年」盲目的に信じるのはやめておいた方がいい
  • 「3年」で一連の経験が得られるかどうかは運要素が大きい
  • 「3年間」JTCで働くとJTC環境の良し悪しが見えてくる
Outline

はじめに

JTC(Japanese Traditional Company)で勤務し始め、はや4年。

世間でよく言われている「3年は働け!」という言葉を信じて、当ミッションを完遂することができました。

望まぬ配属(配属ガチャ、転勤、異動)があったり、上司に恵まれなかったり、文句を言いまくって希望の部署に異動したりと、出来事出来事をピックアップするとなんだかんだ動きがあるような3年間でしたが、基本的には停滞感のあるものであったと感じます。

この記事では、表題の通り、某JTCメーカーにて生産技術職(1-2年目)→研究開発職(3年目~)として過ごしたひとりの若手が、「JTCでとりあえず3年働くこと」という観点から記事をつらつらと書いていきます。

なお、特定の個人や団体に迷惑がかからないよう、具体的な情報についてはある程度抽象化した上で再度具体化をした文言を起こします。

大枠の方向性として異なったものとならないよう配慮しますが、情報の粒度が少し甘くなる点はご了承ください。

追加の補足として、下記の文章は僕による個人の経験や推察によるものが非常に多く、必ずしも実際のJTC環境を反映したものではない可能性があります。

YouTube

YouTube『大企業5年目にもなると、現実知ってイキれなくなります…』

結論:「とりあえず」で個人の大切な時間を使うのはやめた方がいい

僕が思う結論は上記の文言に集約されています。

具体的なことは以下に書いていきますが、基本的にはこの主張に沿った考えを執筆していきます。

なので、やや偏りのある(場合によってはJTC環境を否定する)意見になってしまうかもしれません。

とは言え、僕自身はできるだけ中立的な立場でモノを考える癖があるようなので、上記のような表題を掲げながら、「JTCで働くのはやめておけ!」だとか「JTCは成長できないぞ」といった類の主張、また、現在お世話になっている企業に対するネガティブな意見を出したいという意図はありません。

あくまで「とりあえず3年働く」ということに対して、実際に3年働いてみて思ったこと、程度の温度感で読んでいただければと思います。

前置きも大分長くなってしまったので、以下から具体的に僕が感じた違和感を記載していきます。

「何も身につかないのでは?」と思わせる不透明な将来設計

JTCで受け持つ仕事は基本的には選べません。

当然と言えば当然のことなのかもしれませんが。

「高度な専門性」を持った人材以外は、基本的にJTCに新卒として入社した場合、配属先は運ゲーです。

高度な専門性を有する人がJTCに入社するかどうかは置いとくとして…

社内の仕事をやっていく上で「部署で人材が足りていない」「人事の側でこの部署に何人送り込む必要がある」という点をスタート地点として、新卒の方々の能力や適性を見極め、人を振っていく順番ではないかと推察します。

なので、JTC、特にメーカーではあるあるかと思いますが、配属ガチャは付きまといますし、入社後も望まぬ転勤がしばしば生じているように窺えます。

こういったJTC環境下におけるキャリアの歩み方というのは、大枠は以下のような流れとなります。

新卒入社(1年目)
  • 学生時代の経験を踏まえた配属(場合により踏まえない)
  • 「部署に慣れるため」の仕事、雑用(お手伝いという名の)
  • 「上から降りてきた」仕事(学生時の専門性は活きず勉強しなおし)
部署が受け持つ分野の仕事に従事(2~3年目)
  • 場合により仕事のリーダーとして切り盛り
  • 社内の仕事の進め方の理解を深める
  • 謎の形骸化した業務活動(多くは主査として)
これまでの仕事に紐づいたキャリア設計
  • 新卒で所属した部署、取り組んだ仕事に紐づいたキャリアプランの提示
  • 場合により個人の意思は考慮されない異動・転勤

一言で言うなれば、来た仕事をやるのがJTCであって、やりたい仕事は基本的にできないですし、「やってきた仕事に紐づいた仕事がやってくる」というわけです。

もちろんこの点については議論の余地があって、「自分で起業したら」とか、「来た仕事も十分にできない人に良い提案はできない」といった意見も出てくるとは思うのですが、本記事では趣旨とずれるので割愛します。

というわけで、形としては「キャリアに関する面談」といって、「メンバーがキャリアをどうしたいか?」といったことをマネジメントがヒアリングする場はあります。

とは言え、ここでメンバーが「こうしたい」と主張をしたとて、「こうなる」保証はありません。

将来自分がどのようなキャリアを歩むのかが分からないため、「将来のために必要な技能を仕込んでおく」ことが徒労に終わる可能性がありますし、明確に目指したい方向がある場合、現状の業務に対する不満に繋がる可能性もあります。

そういう意味ではJTCで理想のキャリアをつくっていく、というのはなかなかハードルが高いことなのかもしれません。

JTCの慣性に流されると、JTC環境に即した人材に均されていくため、いたずらに年月を費やすのはよくないかもしれません。

中途入社の場合は上記のような「専門性が考慮されない」「仕事が選べない」ことは、採用の仕組み上回避できるのですが、新卒入社の場合はこの点は認識しておいた方がいいのかなと思います。

「主体性」を持たずに来た仕事をただ消化していると、どんどん謎の方向(キャリア)に進んでいってしまう

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担当業務の性質で決まってしまう評価とメリハリのない評価形態

振られた仕事で大体の評価が決まってしまいます。

さて、前項においてJTCの仕事やキャリアは選べないといった旨の記述をしましたが、これを要因として、僕たちの評価も選べない可能性が出てくるのではないか、と感じています。

とはいえ個人の頑張りにより逆転可能
本項は参考程度としてください(半分愚痴)

評価が選べない、ということですが、ここは具体的な仕事の流れを提示しながら記載したほうが分かりやすいかと思いますので、僕自身の仕事の流れとこれまでの評価について、以下にフローをまとめます。

STEP
基盤技術の研究開発(要素検討)
  • 将来的に製品に必要となる技術の調査・簡易検討
  • 製品に搭載するにあたっての課題出し・対策案立案
  • 上記対策を踏まえた製品適用性の検討
STEP
生産導入に向けた工程設計・設備検討
  • STEP1の内容を踏まえた生産導入にあたっての技術課題の整理
  • 生産用設備の試作・設計・製作・課題出し
  • 算数(原価、工数、費用面ほか)
STEP
生産導入 ← 大体高評価がつく
  • 生産工場への技術移管
  • 生産工場への生産機導入

研究開発、と言いつつ僕が担当している一連の仕事のイメージは上記のような形で、要素的な研究開発から工場への生産導入まで関わりながらやっていく流れになります。

基本的に現在所属している部署のメンバーもこのような流れで仕事をしており、各メンバーで仕事の進捗度(上図で言うSTEP)は異なりますが、この枠の中で仕事を与えられ、成果を踏まえて評価が下されるわけです。

で、本項お題目の「担当業務の性質で決まってしまう評価とメリハリのない評価形態」について触れていきます。

端的に言うと、STEP3の生産導入に取り組んでいる人の評価が高くなりやすい傾向にあります。

まあ当たり前と言えば当たり前なのですが、単純に生産に関わることなので事業に与える影響が大きいので、成果としてインパクトがあるのは明らかです。

と言うのと、生産導入にあたっては大量のドキュメントを残す必要があり、数字で見た場合の成果物の多さも目立ちます。

なので必然的に生産導入に関わる仕事を受け持った場合、高い評価を取りやすい環境に置かれることとなります。

もちろん本人の頑張りも大きいです

STEP1,2に記載した将来技術の仕込みももちろん重要なのですが、やはり直近に必要な生産導入の方が、重要度・緊急度共に高く、マネジメントとしても評価したくなるものと察します。

「部としての原資が限られている」ことと、「評価形態として相対評価である」ことの2点を踏まえると、担当業務である程度評価が決まってしまうという点が見えてくるのではないでしょうか。

なので、一定周期で生産導入が回ってきて高い評価を貰って、それまではなんとも言えない評価…という、ある観点で見ると、がんばりの反映されないメリハリのない評価形態になっている、とも受け取れます。

冒頭の通り、圧倒的成果を出せばその限りではないんだけどね

バリバリ仕事をしていきたい人はこのサイクルから外れる必要があるので、「なんとなく」でJTCに留まるのはやめておいたほうがいいかもしれません。

マネジメントから振られる仕事で大体の評価が決まってしまう可能性がある

経営層(あるいはマネジメント層)とメンバー層の意識が違いすぎる

マネジメント層とメンバー層の間で技術に対する理解度に乖離が生じています。

個人的に思うのが、「技術が高度化している」ということです。

昨今の技術の進歩は目まぐるしいものがあり、そのスピードには僕自身驚くことが多いのですが、各技術の重要度あるいは開発にあたっての難易度の高さがマネジメントとメンバーで共有できていないように感じます。

僕自身が未熟な部分は大きいとは思うのですが、分かりやすい指標で技術を図れなくなってきている側面があると思いますので、前項の評価に通ずるところでもありますが、こういった技術的な難易度は置いといて、「アピールしたもの勝ち」「声がでかい人が勝つ」という環境はまた嘆かわしいものです。

特に顕著なのがITリテラシーであり、部のメンバー(主にはITツールに慣れ親しんだ若手)とマネジメント(50代~)との間で大きく差があるように感じます。

昨今、「業務効率化を」というのはどこでも言われているのではないかと思います。

僕の会社でも同様で、流行りが「DX」「IoT」などなどよく聞く言葉たちです。

僕自身もこういった分野に詳しいわけではないので一旦棚上げをするのですが、大きいことにしろ小さいことにしろ、ITツールが関係した上流からの指示はムチャなことが多く、現場として混乱するというのがよくあります。

「とりあえず自動化して」「プログラミングでできるんでしょ」「業務効率を50%上げるなにかを考えて」

そんな感じです。

「手段」「目的」は使い古されたフレームワークかもしれませんが、指示を受ける側としてはITツールの使用が目的化しているような印象があり、「解決したい課題は何なのか」といった点がクリアでないまま動かざるを得ないことがしばしばあります。

マネジメント側が経営に紐づいた数字に重きを置くのに対し、メンバーは技術に紐づいた数字に重きを置くという特性の違いから、このコミュニケーションのゆがみは致し方ないことだとは理解しているのですが、もう少し課題を共有して仕事を進めていければ、と思うのですが。

こういったコミュニケーションのギャップに由来して、腐らないよう自分自身をケアする必要があります。

「経営側面」「技術側面」独立して技術を解釈しようとするため、コミュニケーションギャップが生じている

組織全体に感じるまったりとした停滞感

JTCというと、「まったりとした人が多い」という環境をイメージするのではないでしょうか?

ぼくが務めている会社(部署)でもこれは当てはまっており、「事なかれ」を是とする空気感が全体として感じられます。

具体的には、形骸化した定型業務を改善、あるいは削減する提案を出したとしても、「責任の所在を曖昧にする」「言い出した人が最後まで責任を持つべき」といった「現状を変えたくないという大きな慣性」を起因として浸透した文化があるため、なかなかどうして前記提案は最後まで通らず、実行することはままならない状況が頻発しています。

メンバー個々が「まったりとした」個性を持っているかというと、その点はなんともグレーなところがあります。

いわゆる意識高い系だとか、バリキャリと比喩されるようなイメージの方が少ないのは事実ですが、とは言え各々仕事にはプライドや責任感を持って取り組まれている方も多いのもまた事実です。

とは言え、「文化」と一口に言ってしまうと簡単になってしまうのですが、やはりJTCの企業的な文化として、集団が形成されると「なんとな~く新しい活動を自発的にしたくない」雰囲気が出来上がります。

繰り返しにはなりますが、この雰囲気が出来上がる要因は、個人個人の意識に因るというよりは、組織構造やJTCが持つ文化的側面に因るものが大きい、と僕は感じています。

なんだかんだ、皆忙しい…

YouTube

組織運営・開発といった点にも触れておきます。

JTCの場合、数十人規模のある程度まとまった人数が部という1つのハコに所属することになるので、マネジメント層による適切な組織運営や全体の調整が必要と僕は考えています。

通常は部全体をまとめるポジション(部長)や小規模なチームをまとめるポジション(課長)といった役割を設け、運営を図っているのではないかと思います。

また、仕事に紐づいた集団(一般的なチームを指す)の他、チーム横断で特定の機能を果たすための集団も設けられているかと思います。

部署全体のメンバーを見て、「外部の情報収集をする集団」「設備の管理をする集団」「特定の機能に強い集団」をつくる、というイメージです。

さて、こういった運営体制を踏まえたうえで、先にも述べましたJTCの「組織運営・開発」といった点を見てみます。

率直な感想としては形骸化しており、活動をやるために活動をやる状況であり、広義でのある機能を持った集団のメンテナンスが出来ていないように感じています。

本項にて記載しましたが、JTCのような企業に勤められる(就活で勝てる)人たちというのは基本的には地頭がいいので、こういった形骸化した仕組みの違和感には気付いているはずです。

ではなぜこういった仕組みを変えられないのか、ということですが、ここに前述したJTCの文化が絡んできます。

  • 形骸化した業務はなくしたい
  • 意見出しすると主査として受け持てという雰囲気がある
  • 通常業務がある中、主査として形骸化した仕組みの改善を受け持つほど暇ではない

悲しいかなマネジメント層から下りてくるKPIとして、毎年のようにこういった業務の活動報告が掲げられてしまうため、年度内に変えようとは思っても変えられず、また翌年も同じようなKPIが下りてくるため、やめたくてもやめられないジレンマに陥っているものと推察します。

僕自身、昨年度はこういった全体業務の削減は不可能であると感じたので、小粒のものから無くしていこうと取り組んでみたのですが、メンバー、マネジメント双方からのレスポンスがかなり悪く「意見出しや行動をするだけ無駄だな」と思ってしまうに至りました。

その他、最近では、おそらく人事側からの声掛けがあった影響か、「1on1」「コーチング」をマネジメント―メンバー間で取り組もう、という動きが出てきています。

しかし、その目的を意識せず、実施件数だけを稼ぐ運用形態となってしまい、自主的に学んでいないであろうマネジメント側による取り組みが「お話の場」になってしまっているのは、嘆かわしいなと感じます。

コロナ禍が良くも悪くも常態化したため、コロナ前とは異なったメンバーの管理方法であったり、メンタル的なサポートが必要とは感じるのですが、なかなかどうしてうまい運営が出来ていないのは事実ではないでしょうか。

僕が見えていないだけの可能性もあるけど

JTCの「まったりとした」環境により、「やる気をなくす」「成長できない」「腐ってしまう」かもしれない

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おわりに

今回はJTCの「違和感」に焦点を当てた記事であるため、ややネガティブな意見が目立つものとなってしまいました。

総論として、「JTCのコントロール不可能な環境」により、得られる経験や技能はまちまちであるため、「3年間」という数字に固執するのではなく、特定の経験や技能を得るためには「N年間」という考え方がいいのではないか、と思います。

目的意識や現状に対する客観的な評価がないまま、JTC環境で「なんとなく3年」を過ごしてしまうと、他で代替できる経験や技能を有さず、社内の調整が少し得意な人になってしまう可能性があります。

僕自身も日々気を付けているつもりですが、「技術分野として尖る部分を持つ」だとか、環境が変わった場合についても「ここが自分の強みです」と言える部分を持つ、あるいは仕込んでおくことが必要と考えます。

ここまでさんざん書きましたが、JTCはJTCで良いところはたくさんあります。

  • 安定志向の人にはこれ以上ない環境であること
  • ハラスメント等はほぼ起こりえないこと
  • 業務が仕組み化されており社会的な標準を学べること

現に僕は当面現環境で働いていこうと思っているし

どんな環境に属するにせよ、客観的に自分の立ち位置を眺めた上で、方向性を決めていく姿勢は持っておきたいなという感想をもって、本記事を〆たいと思います。

YouTubeにて「JTC(大企業)での働き方」について動画を発信していますので、ご興味がありましたら、下記のボタンからご視聴ください。

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コメント一覧 (2件)

  • コメント失礼します。
    現在理科大3年で、来年から就活の身です。
    高森さんはメーカー勤務とのことですが、何系のメーカーでしょうか。
    特定等の目的ではなく、メーカーによっても様々だと思い1つの参考にしたいため、差し支えなければお聞きしたいです。
    加えて、動画のリクエストなのですがメーカー勤務の一日のスケジュール(仕事の流れ)などを教えていただきたいです。
    動画活動応援しています。

    • 高森です。コメントありがとうございます。
      来年から就活とのことで、ぼちぼち動き出しの時期ですね。後悔なきよう進捗することを祈ります。

      さて本題ですが、機械系のメーカーになります(ざっくりですみません)。
      商材としてはメカ(B to C)を扱っており、インフラや素材系ではないという意味合いです。

      動画の件も承知しました。近日中にざっと一日の流れを話す動画でも作ろうかと思います。
      応援の言葉もありがとうございます。とても励みになります。

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